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龍宴庭note

突発小話&気まぐれ雑記用。 詳細などは「Category」→「★ABOUT」に記載。
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【クク主drago】たわむれかんきんぎんのおり 2


■クク主。(病み病み)


息抜きに。
深夜帯に摂取したものが悪かった副産物。贈呈品に影響が出始めたのでこっちに掃き出し浄化。(浄化はされていない)
ほのぼの甘いはちみつを厳守するためにこちらを贄に。
(別訳:だって「こういうのも好き」だというような感想を頂いたし)









一人に束縛されるなんて下らねえ。

――なんて。他人事のように思っていたものが我が身に起こるなど誰が知ろう?
カミサマだって知るわけもない。(子供の無垢な祈りを聞かなかった奴らだ。)
そう、一片たりとも聞いてはくれなかった。
手放せなかった銀色のロザリオ。十字を切れば天罰下る聖職者の装飾品。

今は部屋の隅。
埃を被ってそこにある。
置き去りにされたのは祈り。抵抗する手段を持ち合わせない銀の髪の子供が持っていた唯一が、そこに置かれ――捨てられて。

まあ、構いやしないのだけれど。


「聖職者がこんなことをするのは罰当たりになるかどうか、賭けないか」


――なあ、女神様?
そう囁いて、いつものように口づける。
耳から鼻先へ流れ、命脈打つ首筋へ辿り着くと、びくりと相手が身を震わせる。噛みつかれるとでも思っているのか、警戒の為に息を詰めるのだ、この男は。
兵士としての性分がまだ残っているのだろう。
さすがに喉を喰い破るつもりはない。殺すつもりはない。今のところは。
この楽園の中にある限りは、まだ。

「……っふ。少し、痩せたか? 最近のお前、よく残してるよな」
腰回りにも唇を寄せ、軽く食んでから撫でれば相手がまた身を強張らせる。
ちらと視線を上げれば、見えるのは天に留められた視線と嚙み締めた唇。
こいつはいつもこうだ。
声を殺し、嫌悪の表情で在らぬ方角を見つめている。
早く終われ、と思っているのか。願っているのか。祈っているのか。

――祈りが届くことなんてないのに。

「こーら。血が出るから、噛むな」
口づけを止めて起き上がり、その口元へ自らの手を与える。施しを与えるのはこれで何度目だろう。
「噛むなら、こっちにしとけ。……ああ、ちょっとくらいなら大丈夫だ。後で回復魔法でも掛けるから」
自分でも良い案だと思ったのに、相手から返されたのは鋭い眼差し。その氷の美貌に相応しい、怜悧な刃の視線。
目の前に引かれる境界線。
かつての禁足たる領域はけれど、もう意味を為してはいない。
何故なら女神はこの手で引きずり落とし、掴み、抱き、奥まですっかり侵食したのだから。

「……この後、一緒に食事を摂ろうな?」
掴んだ足を肩口によいしょと乗せれば、これから何をされるのか悟った相手がぎょっとしたような顔をする。
ほんと、ちっとも慣れてくれない。
朝から夜まで何度も抱いて何回も愛を注いでやっているのに、この女神さまは――エイトは嫌悪の表情で見上げてくるのだ。
でも、ちっとも理解していない。

「……その顔は余計に煽るだけだぜ、って。言ってるよな?」
微苦笑しながら腰を前に進めていけば、組み敷いた下から短く押し殺した声が零れる。
痛み、嫌悪、恐怖、それらが動くのに合わせて出かかるのを、エイトがやはり唇を噛み締めて殺そうとするものだから、見かねて指を突っ込んだ。
「ほら。俺の指、噛んでていいから。……ククールお兄さんの言うこと聞いとけって。エイトくん?」
すっかり奥まで侵食した状態から顔を近づけて、耳元で甘く囁いてやるも返される言葉はない。
それでも、いやいやと子供のように首を横に振って逃れようとするエイトの顎を掴み、強引に指を食ませて舌を弄んでやれば嗚咽に似た声が小さく零れて――ぞくりとした。


カミサマへの祈りは届かない。

だから俺にだけ祈っておけよ女神様。


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