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龍宴庭note

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【クク主drago】たわむれかんきんぎんのおり 3(裏面)

カッ ヾノ。OдO)ノシ バンバンバンバンバンバンバンバン!!

「たわむれかんきん~」をもう諸々加筆して周年記念小説にし上げようかと考えている最中に、再び素敵な贈与を受けてネットの画面越しに上記の奇行をしてしまった奇行種です。

未開の地の民よろしく、両手に掲げてウワァー二回目。
真夏の夜の夢を見るにはちょっと早いんじゃないかと思うのですが、ありがとうございます。

短いエイト視点が零れてきたので書き落とし。

for the answer→「ん? 俺の愛をちゃんと飲み込まないエイトが悪いだろ?」









清浄なシーツに包まり、じっと日々を過ごすようになってからもう長い。
トモダチという拠り所をひとつ失った(らしい。まだちょっと認めたくない)俺は、子供のように身を丸くして今はシーツに寄り添っている。
気のせいか、少しだけ太陽の匂いがする。どこか外ででも干していたのだろうか。
懐かしい世界、平凡な日常にあった陽の香り。今はすっかり遠くなってしまったけれど。

眠り込んでいるばかりでは体に良くないと、ぎくしゃくする手足を時々伸ばして解す。
自分の体なのに、あまり見たいと思わない。
何故なら、俺の体のあちこちには望まぬ刻印が散らされているからだ。

竜殺しの刻印は、拘束と弱体化。
神聖文字は、その補助と強化。
それから、花弁じみたものは――実はこれが一番多い――全部、ククールが俺につけた内出血痕。いわゆる「キスマーク」というものだ。愛情表現の一種だと、いつか本で読んだことがある。

……そんなのは、嘘だ。
これは愛の証拠じゃない。

俺が嫌いになったから、憎くなったから、こうやって痛めつけているのだ。
これはその証拠。疎ましいものに対しての仕打ちであり、単なる傷。
俺はきっと余程酷いことをしたか、しでかしたんだろう。ククールがトモダチを止めて、こんなことをするくらいなのだから。

俺の罪は――なんなのかな。

本当に分からない。
ククールに聞いたこともあったが、例の冷たい微笑が返ってきて、その後に一晩中酷い目に遭わされて以来、訊ねていない。体の奥がどろりと重く、一日中嘔吐して寝込んでいたのが記憶に残っている。残されている。赤の花弁と白の体液とで。
(さむい……いたい……、……かなしい)
泣きそうになるのを、唇をきゅっと噛んで堪える。(まあ自分の意志では泣けないのだが。)
俺が何か言うと、ククールは笑う。一瞬ばかり、嬉しそうに。けれどすぐに正気に見えない目をして、俺が本当に見たい笑みではないものを浮かべながら――この赤い傷跡を増やしてくれる。散々な目に遭わせながら。

行為の最中、俺の意識は大体どこかへ飛んでいる。ふわふわと浮かび、揺れる世界の中でぼうっとしていればいつの間にか終わっているから。
体内に吐き出される何かどろりとしたものについては考えない。気持ちが悪くなって、しばらく食事が摂られなくなるからだ。
実際、二、三回ほど口の中に注がれたそれを戻したことがある。ククールはちょっと困ったような顔をして笑い、掃除から片付けまで全てを一人でしてのけたが、やはり見苦しかったのだろう。口のほうへは吐き出さなくなった。
気を遣ってくれたのか。優しいところは変わっていないようだ。……と、思いたい。
代わりに、胎の中の奥までたっぷりと注がれ満たされるけれど。溢れるまで。溢れて零れても、またぐちゃぐちゃに掻き回されるまでが終わりの起点。後はまた始めから。
そして俺はまた吐いてーー心の中で少し泣いて、気絶するように落ちる。何もない眠りの海へ。

酷い行為を受けている時、俺はいつも色々なことを思い出している。
精神と肉体の疲労の軽減に少しでも役立つかと考えて。

例えば、押し倒された時。その状態から仰ぎ見えるのは、冷たいアイスブルーの目と夜空の星のような銀糸の煌めき。
思い出すのは、昔、夜の中をひとり出かけて見た天体観測。静かで楽しい夜だった。勿論、後で祖父殿……親友のトーポに知られて怒られたが。

例えば、俯せに寝かされ背面から圧し掛かられた時。柔らかいシーツを掴んで縋れば、微かな太陽の匂いが零れてトロデーン周辺にあった牧草地帯が目の裏に浮かびあがる。
近くに放牧された牛がいたから、チーズに加工するためにちょっとミルクを拝借、……。

せいのにおいのする、なまあたたかくどろりとしたしろ。

「……っ、ぇ」
途端に込み上げるものがあり、慌てて口元を押さえて身を丸めた。
今日の回想はここまでらしい。
俺は冷や汗でべたつく額を手の甲で拭い、シーツを手繰り搔き合わせて眠ることにする。

微かな太陽の匂い。昔のククールの匂い。今は冷たいばかりの俺を苛むひと。
誰かに会いたい。空を、星を、太陽を見たい。

「…………かえりたい」

狂気の主がいない部屋に、俺の情けない独り言が零れて消える。
慰めてくれるものは何もない。この白いシーツ以外には。

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